人生をコンテンツ化する。

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終わりの見えない撤退戦。ハウツー文庫という存在。

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工作:ハヤカワ文庫(トールサイズ)向けの透明ブックカバー工作:ハヤカワ文庫(トールサイズ)向けの透明ブックカバー / Takanori Ishikawa


ハウツー文庫という存在は今、存亡の危機に瀕しています。

「文庫」という言葉を聞いて、あなたはどんな本を想像するでしょうか?

おそらく多くの人は小説、つまり文芸をイメージすると思います。たいていの書店には文庫コーナーが常設されていますが、売り場のほとんどは文芸が占めているはずです。私の感覚では9割が文芸ですが、たぶんこれは現実ともそれほど乖離はしていないでしょう。

そういった状況からも、世の中には「文庫=文芸」といった認識を持つ人が多いのは当然です。しかし、文庫は文芸だけではありません。あなたの地元にある一番大きな書店に行ってみてください。そして、ほんの少しでもいいので文庫コーナーを見渡してみてください。すると、文庫コーナーの片隅に「ハウツー文庫」がひっそりと並べられていることに気づくはずです。

ハウツー文庫。健康・ビジネス・自己啓発などの、言ってみれば文芸以外のテーマを扱っている文庫を総称してこう呼びます。人によっては雑学系文庫と読んだりするかもしれません。

今、この雑学系文庫がまったく売れていません。実際、昨年末に紀伊国屋のPOSデータを調べるシステム「パブライン」を使って文庫の年間ベスト100を調べたところ、9割以上が文芸で、ハウツー文庫はごくわずかしかランクインしていませんでした。書店大手の紀伊国屋でこの状況です。つまり、世間で読まれている文庫というのは、一にも二にも文芸文庫なのです。

なぜ、これほどまでに雑学系文庫が売れていないのか、深くは追求しません。各所で言われている、出版業界が抱える問題の表現形の一つです。
出版社には棚を維持するのが精一杯で、現状を改善する余裕がありません。文庫というのは新書と同様に、棚の確保ありきの書籍です。そのため、棚を確保することが優先で、新たな提案や試みを実行するには棚の確保に費やしている時間をそちらに割く必要があります。すると、棚の確保がおぼつかなくなり、ますます売れなくなる。現状維持がダメなのはわかっているけれど、他にやりようがないという状況で、まさに撤退戦。しかも、その先が見えない。

ハウツー文庫の売上を伸ばすにはどうすればいいのか。
今、どの出版社も頭を悩ましています。

……という話を人づてに聞きました。