人生をコンテンツ化する。

頭の中に浮かんだことを勢いにまかせてすごく適当に書く。

就職か研究を続けるか迷ってる院生は必読。『「大発見」の思考法』

スポンサーリンク

Students at Climate Change Downscaling Training
Students at Climate Change Downscaling Training / CECAR - Climate and Ecosystems Change Adaptation R

最近、リクルートスーツの人をよく見かけるなと思ったら、どうやら2014年新卒の就活が始まったらしいですね。そのせいか、自分が就活してた頃を思い出しました。
俺は研究者になるのを夢見て大学院に進学しましたが、研究者の道を諦め、修士卒で就職したクチです。だから、修士で就職するメリットもデメリットもある程度知っています。それだけに、就職することを決めた院生には納得できる就活をしてもらいたい気持ちが強いです。

修士で就職することの問題点・難しさはいろいろとありますが、一番は時期でしょうか。なぜなら入学した年の年末には就職活動を始めなければならないからです。俺は2006年4月に大学院に入学しましたが、その年の11月にはリクナビなどにエントリーし、12月頃には説明会などに行き始めていました。

つまり、無事に大学院に入学でき、研究と平行しながら前半のうちに授業を詰め込めるだけ詰め込んで必要単位を取り、後半に入ってようやく研究だけの生活を送れるようになって研究結果も出始めた頃に、就活シーズンに入ってしまい、就職するのか博士課程に進学するのか自分の進路を決めなければならないんです。

多くの院生がその決断に迫られるのがちょうど今頃。よっぽど意思がはっきりしている人であれば悩むこともないのかもしれませんが、たぶんそうではない人が多いと思います。自分は研究者に向いているのか、研究者にはどんなことが大切なのか、就職するのか博士課程に進むのか悩みますよね。
では、現役の研究者はどう考えているのか? この本を読めば少しわかります。

「大発見」の思考法 (文春新書)

ノーベル医学・生理学賞を受賞した「iPS細胞」の山中伸弥先生とノーベル物理学賞を受賞した「CP対称性の破れ」の益川敏英先生。2人の対談をまとめた本です。

おそらく現役の研究者や研究者を目指している大学院生、学生にとっては、とても素晴らしいモチベーションアップツールになると思います。ただ一方で、俺のような研究で飯を食っていくことに挫折した人間からすると、自分がなぜ研究に向いていなかったのか再確認させてくれる、ちょっとほろ苦い本でもあります。

何を差し置いても、まずは「国語力」

益川 そう、科学の基本は国語ですよ。何にしてもすべて文章の言葉から入ってくる。読んでその世界が頭に思い浮かべられるかどうか。その力があれば、理解していける。
山中 国語力は全ての基本だと私も思います。

山中 でも、微分積分は医者の仕事と直接的な関係はありません。
(中略)
益川 数学が好きかどうかは、計算が速くできるとかいうことではなく、ものごとの論理性に興味を持ち、それを面白いと思えるかどうかです。数学が苦手だから文系しか受験できないというのは、ちょっと違うと思いますね。

論理的思考力と国語力はかなり密接に関係しているんじゃないでしょうか。いずれにしろ、ただ計算早い人や国語が苦手な人には第一線の研究者として活躍するのは難しいのかも? あなたはどうでしょうか。

自分のセンスを「錯覚する」こと

益川 (中略)そんなことが重なって「俺は理科や数学が得意なんだ」と錯覚していきました。この「錯覚する」というのが大事ですね。

「自分はできる、研究に向いているんだ」と思い込めるかどうか。残念ながら俺は思い込むことができませんでした。実験に失敗するたびに自信がなくなっていって、モチベーションがどんどん下がってくる。そしてますます実験がうまくいかなくなる。そのループにはまってしまって、錯覚する余裕なんてなかったです。

失敗を面白がれるか?

山中 科学者にとって感受性は本当に大切だと思いますね。自分のやった実験の結果を見て、「うわ、すごい!」って面白がれる人じゃないと、研究を続けていくのは、難しいと思うんです。そこで心からびっくりできる、感動できるというのが、研究者に必要な才能だと思います。

これも俺にはありませんでした。失敗するとテンションが一気に下がる性格で、失敗を面白がることなんかできませんでした。ノーベル賞級の研究結果は失敗がきっかけとなっていることが多いですから、やはり失敗をポジティブに受け取れる性格は大事なんでしょうね。

これ以外にもたくさん「研究者」という生き方について語られているので、まだ就職か研究かを迷っている人はぜひ読んでみてください。

「大発見」の思考法 (文春新書)

「大発見」の思考法 (文春新書)